デザイン住宅と自然素材の家で京都・関西において「いつまでも心地よいと感じて頂ける住まい・空間」を提供するHOP京都の住宅実例集 HOP宮の森の家
水平に長く延びた庇、しなやかな曲線を描く軟石のエントランス。 建物全体から漂う気品は、道行く人の足をも止め、五感にそっと語りかけてくる。 宮の森の家は、藤田工務店創業48年、HOP設立から10年の歳月を積み重ねた、美意識の集大成である。
「上質」と「高級」は、あきらかに違う。 この家を訪れた人は、誰もがその違いを肌で知るのではないだろうか。誤解を怖れずにいうと、コストをかけて贅を尽くせば、高級感を得るのは容易なのかもしれない。しかし、上質となるとそうはいかない。そこには、住み手はもちろん、つくり手の感性や哲学、本質を見際める目が必要とされ、生き方のセンスまでが問われるからだ。HOPの石出和博社長が常づね口にするのは、「日本の住まいに、侘び寂びの感覚を取り戻したい」ということ。伝統的な素材や手法が大量消費社会のなかで捨て去られてきた今、自然素材のよさを改めて見直し、それを使う人間の物語や心までを空間に閉じ込めたいのだという。建築家として、茶室の設計にも長けている人らしい言葉である。上質な空間とは、素材が醸し出す質感のバランスと人が心地よいと感じる間の融合であり、人と人が精神的な交流を築ける場というのだ。
宮の森の家は、経年変化とともに味わいを増し、家族に住み継がれる事をテーマに設計された、いわばHOPの集大成とも言える住まい。床には道産ナラ材を使い、建具の造作のタモ、そして壁はワラを漉き込んだ珪藻土と、自然素材をふんだんに配しおだやかな空気をつくりあげている。空間に負けないようにとセレクトした家具は、イタリアンデザインの最高峰カッシーナ・イクシーでコーディネート。一見、和洋折衷のようにも映るが、和と洋、それぞれに最上級のレベルに達するのは東西の様式問わず、ひとつの空間を完成させ、堂々と共存するのである。
建物の中心をこの字型にくり抜き、中庭を設けているのが楽しい。キッチン、書斎を兼ねたおもてなしの間、リビングのそれぞれに面し、緑と光をたっぷり届けてくれる。広々としたリビングは、ダイナミックな吹抜けとシナ材を貼った片流れの天井が空間に深みを与え、開放感もひときわ。電化の普及により住まいのなかで火の存在が希薄になった今、ペレットストーブで炎のゆらぎを感じようという演出もされている。札幌軟石を敷いたファイヤースペースに鋳物のストーブがマッチして、冬の夜の心豊かな時間を連想させる。リビングの一角にしつらえたお座敷は、本格的な縁側を備えた和の空間。リビングとの境界にあえて15cmの段差を設け、「敷居を高く」しているのが特徴だ。かつては敷居をまたぐ、畳の縁を踏んではいけないと教えられたように、畳の間は神聖な一室だった。そうした名残を現代にも生かし、ちょっと衿を正しくたくなる場を家のなかにつくることで、住まいの品格は高められる。 中庭正面の特等席にあたるのが「おもてなしの間」で、第2のダイニングの機能も兼ねる。壁際に収まりよく並んだソファに大きなテーブルがあり、大勢のゲストとのディナーも快適。ここはキッチンとリビングの動線上にあるので、家族が庭の景色を見ながら気軽にくつろいだり、ご主人が持ち帰った仕事をこなす書斎としても重宝する空間だ。 どう暮らすか、どう生きるのかといったことから発想するHOPの住まいづくり。そこからおのずと導き出された素材やデザインが、唯一無二の「上質」を奏でるのである。